写真集「HOME」のこと⑤

土楼は客家を抱き込み、客家は自身の心に中原を抱き込む。 2019年の11月。大阪の書店「blackbird books」さんを訪問した折、店主の吉川さん、写真家の中村さん、僕の3人で、写真集「HOME」の話をしていた。そ...

写真集「HOME」のこと④

客家という言葉の中では、本来は相容れないはずの隣人が同居し、互いに軋みをあげているのだ。 「HOME」という写真集は、「客家」と呼ばれる人々のポートレイトと、その住居である「客家土楼」の写真から構成されている。中村治さん...

商品/金銭/疎外

疎外は商品が商品として存在するための、必須の条件といえるのだろうか? 本は商品である。商品とは売り買いの対象であり、その売り買いは、金銭と商品との交換によって行われる。商品には売り手によって価格がつけられ、買い手がその金...

写真集「HOME」のこと③

中村さんの目が何を湛えているのか、僕にとって、それは1つの不思議だった。 写真家の中村治さんにはじめて会ったとき、なにより印象に残ったのは、中村さんの「目」だった。中村さんがどのような表情で僕を迎えてくれたのか、今となっ...

「選択」について

選択の準備は、それよりずっとずっと前から始まっている。 「どうして出版を始めたんですか?」と聞かれることがある。それは言われてみればもっともな疑問で、世の中に「出版をやろう」と考えるような人はそれほど多くはない。どころか...