受賞の連絡

こんにちは。
LITTLE MAN BOOKSの大和田です。

先日、中村治さんの写真集「HOME~Portraits of the Hakka」が「さがみはら写真新人奨励賞」を受賞したという連絡がありました。

Facebookやメールで、普段お世話になっている方、写真集の制作や販売に関わっていただいた方へのお礼の連絡をして、ここでいったん、1つのことをやり終えた感覚でいます。

もちろん、「HOME~Portraits of the Hakka」の可能性はこれからであり、LITTLE MAN BOOKSでやりたいこと、やるべきことはいくらもあるわけですが、賞をいただくということで1つの区切りをつけていただけたということはとてもありがたいことなのだなと思います。

新しいことを始めるには何かを終わらせることが必要であり、終わらせることによって、そこを起点として新しい何かを始めることができると思っています。

賞というものに意味があるとすれば、それは物事の終わりを自分自身ではない外部から与えてもらえるということ。そして、その終わりを関係する皆さんと共有し、新しい方角に向き合う準備を促してもらえることにあるような気がしています。

「HOME~Portraits of the Hakka」に掲載された写真は、今回がはじめての発表というわけではありません。2011年、ニコンギャラリーで展示を行い、写真集制作の話が出ていたものの実現せず、約10年の期間を経てあらためて再発表、写真集としての刊行に至った経緯があります。

「HOME」のテーマはこの10年間、中村さんの中で終わることなく、生き続けてきたものです。その過程で「HOME」の写真群に対する中村さんの解釈は変化し、本という形でFIXされた表現には、2011年のそれに対して大きなリファインが施されました。

もし2011年の震災が起こらず、中村さんがそこで「HOME」を終わらせることができていたとしたら、そのあとの変化も生まれず、今回の写真集も成立しなかったかもしれません。終わらないものを無理に終わらせるのではなく、終わることのできる最良のタイミングを待つこと。それもまた、写真家としての1つの嗅覚であるように思います。

時間の長さに客観的な物差しはなく、個別の事象が個別の流れの中で時を刻み、それが堆積する中、どこかで臨界点を迎える。長い、短いではなく、その流れとしての時間を静かに観察し、機会としてのタイミングに気づいていることができるかどうか。

流れの中で様々な感情や人が交錯し、終わり、また始まって行く。そのダイナミックなあり方を体現する1つの形として、LITTLE MAN BOOKSはこれからも活動を続けていきたいと思います。